「プロの技」

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05. 理念が「お金を儲ける事」や「安定を求める事」?

 企業(事業者)には「理念」や「思い入れ」と言うものが存在します。
製造業であれば例えば「この上なく高い質の物を造る」であったり、飲食業であれば「どこにも負けない美味しいものを提供する」であったり、サービス業であれば「最上の居心地を創造する」であったり。
起業に際しては、そんな強い思いが存在するが故に、様々な苦難をも乗り越えて、ビジネスの成功に至るのです。

 ところが。
最近、こんな事を感じる瞬間が増えて来ました。
飲食店のケースでお話しします。

 先ずは、入店した際に店員から感じ取る事の出来る雰囲気。
店がスタートした当初における挨拶の言葉と全く同じセンテンスなのですが、当初に伝わって来ていた緊張感や誠実さが余り感じられず、上っ面な感じがする。

 運ばれて来た料理。
味、食感共に、当初には存在していた何かが、明らかに違って感じられる。
有り体に言うならば、「いつも通りに作った」と言う感じです。
「いつも通り」なら宜しいのではと思われるかも知れませんが、作り手が思う「いつも通り」です。
要するに、何と作り手(調理人)が変化して仕舞っているのです。

 そして、料金を支払って店を出る際の店員の挨拶。
当初にはあった快さが、何故か生まれて来ない。

 如何でしょうか、同様の事を感じた経験のある方は、少なからずいらっしゃるのでは。
何故この様な悲しい変化が生まれるのでしょか?
私はこう推測します。

 ビジネスのスタート当初は全てが「お客様の為」であり、「更に高みを目指す向上心」に満ち溢れていた。
ところが、ビジネスが安定し始めた途端、これらが何処かへ飛んで行った。

 こうなってしまった企業(事業者)の「理念」や「思い入れ」は、「お金を儲ける事」や「安定を求める事」なのでは無いかと、そう、私は感じます。
「初心忘るべからず」は行うは難しですが、無くさないでいたい教えでは無いでしょうか。



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