「プロの技」

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11. 業務マニュアルの重要性

 ラーメン店の店舗オペレーションを例にして、経営のポイントについて考えてみます。

 私が住む金沢市と周辺地域はラーメン店激戦区と言っても良いでしょう。
今はやや落ち着きを見せていますが、過去に於いては、新しいラーメン店が生まれたと思えば、あっという間に消えて行き、また生まれ、そして消えて行きました。
ブーム全盛期には、TV報道でも「行列のできるラーメン店」と言った類の番組が流れ、それに刺激されて開業をした店も少なくないでしょう。
しかし、そんな店のかなり多くが、消え去ったのです。TV報道された有名店の中にも、消え去った店が少なくないようです。

 ラーメンが好物のひとつである私。地元並びに隣県のラーメン店に足を運ぶ事が少なくありません。
今も生き残っているラーメン店には当然ながら長きに渡って通っている訳ですが、出会った当時とは確実に異なる様子を感じます。
そのひとつが「接客」。
昨今のラーメン屋は活きの良さを意識してか、来店と見送りを始め、時々に大きな掛け声を発する店が殆ど。
しかし、その掛け声も出店当初ほどの「誠意」が伝わって来ないケースも少なくありません。

 原因は「悪しき慣れ」です。
商売に於いて最も大切なのは、「心からの感謝の気持ち」だと私は信じて居ます。
商売が安定して金銭にゆとりが出来始めると、必ずと言って良い程、感謝の気持ちが薄れて行く。
商売を続ける限り行わなくてはいけない事。
それは、現場の状況チェックです。店の管理者が怠ってはならない最重要の務めです。
常にチェックを行い、悪しき部分は直す。そんな行動を絶やさない商売が、生き残り反映して行くのです。

 そして、そんな様々なチェックに欠かす事の出来ない存在がマニュアルです。
いくらチェック作業を欠かす事が無くても、都度のチェックにバラツキがある様では、チェック作業自体が形骸化して行く事でしょう。
必要なチャックポイントとして何と何が有って、どのような状況にあるべきかを厳格に書き記したマニュアルが必須です。
そして、もしも時と共にマニュアルの内容が適当でなくなった際には、修正した内容に沿ってチェックを続けて行く。

 作成とメンテナンスに手間暇を要する、商売にとっては副次的な作業と感じる事でしょう。
然しながら、最も効果的な策であると、私は固く信じています。
至ってシンプルなマニュアル作りからスタートし、徐々に内容を充実して行く方法が宜しいでしょう。
是非、実施してください。



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